キャリアアップか長く勤めるか
アジアの中で調査してみると、転職を繰り返す人は、再び転職するケースが目立ちます。
全体としての転職率が上がるという結果は、日本が持っていた終身雇用制度とは逆行する部分といえるでしょう。
さらに、海外ではステップアップを目的として転職するということは当たり前と考えられがちです。
ところが、これはすべてに当てはまる現実ではないともいえます。
ただし、すべて間違っているというわけではなく、キャリアアップを目指すことができる仕事はどんどんとめざし、長く勤めてスペシャリストを目指す仕事と明確に分けているといえるでしょう。
30代の日本女性を見てみると、実は転職率が最も高いということが見えてきます。
転職経験がまったくない人は、ほんのわずかにとどまっているのです。
転職とともに下がる給与の問題
考え方を変えると、発展途上国の場合には、インフレ率の問題により少しでも給料が高い仕事を見つけていく傾向があります。
転職理由に挙げられる賃金への不満ということが目立つのも、こうした社会的な問題を抱えているということがあるでしょう。
ところが、日本の女性の場合、賃金の不満よりも人間関係への不満を上げるのです。
さらに問題視しなければいけないのが、日本の女性の場合、転職によって給与が下がる傾向があるということでしょう。
10%以上減ることも珍しくなく、圧倒的に数が多くなるのです。
問題の背景として、妊娠・出産で転職の好機を逃すということが挙げられます。
さらに、30代手前で離職するケースが多く、仕事を覚えたあたりで退職しているケースが目立つのです。
この二つを合わせてみると、給与が下がる要因としても十分考えられるでしょう。
若いころからキャリアプランの形成を考えて
問題として大きなことが、転職した場合に前職の経験を活かせない職場しか選択ができないということが挙げられます。
子育ての両立が問題になったりするため、短時間でのアルバイトを目指したりすることもあるでしょう。
元の環境に近い場所で働きにくいため、どうしても給与が下がっても仕事に就かざるをえない社会環境の未整備という問題もあるのです。
保育施設の問題などは、こうした現実につながる重要な問題でもあるでしょう。
長く同じ場所で働くことが良いというわけではありません。
環境が悪いのに、我慢し続けることが、決して美徳ではないからです。
ですが、ライフプランも考え、キャリア形成を考えていくことも、若いうちから行っていかなければいけないでしょう。
どこに行っても同じということは、決してありませんので、自分を活かすことができるプランニングを考えていかなければ、こうした社会問題の渦に飲み込まれてしまうことになるのです。